ベントレー・システムズ
プロジェクトのデータをひとつの環境へ繋ぐISO 19650準拠のデジタルツインプラットフォーム
ベントレー・システムズ
Account Manager 本田 恭平氏
Senior Application Engineer 松浦 左津志 氏
Application Engineer ホアン ゴックカン 氏
設計、施工、維持管理の各フェーズ間でデータが分断され、その都度データの再構築や確認作業に、目に見えない膨大なコストが発生していることは、建設業界における長年の課題の1つとなっている。
こうした中、ベントレー・システムズは建設・インフラ向けデジタルツインプラットフォームとして「Bentley Infrastructure Cloud」を提供している。ドキュメント管理を担うProjectWise、4D/5D施工管理のSYNCHRO、保守・運用向けのAssetWiseなどのソリューション群が含まれ、これらの活用により、プロジェクトにおけるデータ連携や管理の効率化などを強力に推進することが可能となる。
今回、ベントレー・システムズの本田恭平氏、松浦 左津志氏、ホアン ゴックカン氏の3名に、同社の会社概要や製品の特長などについて伺った。
「iTwin」でインフラのライフサイクルを繋ぐ
ベントレー・システムズは1984年に創業した米国本社の企業だ。MicrosoftやGoogleといった企業ともストラテジックパートナーシップを結び、橋梁やトンネル、道路、鉄道などの土木インフラから、発電所などのプロセスエンジニアリング、さらにはまちづくりやスマートシティに至るまで、幅広い領域にソフトウェアを提供してきた。取り扱うブランドは約40、製品数は100を超える。3D地理空間プラットフォーム企業のCesiumもグループ会社としている。
Account Managerの本田恭平氏は、「海外ではオーナー企業側が特定のプロジェクトで弊社製品の採用を指定するケースや、政府機関が利用を推奨する例も珍しくありません。設計から施工、運用に至るまで一気通貫で提供できるのが強みです」と特長を説明する。
Account Manager 本田 恭平氏(写真右)
Senior Application Engineer 松浦 左津志氏(写真中央)
Application Engineer ホアン ゴックカン氏(写真左)
さて、その同社が提供するソリューションに「Bentley Infrastructure Cloud(以下、BIC)」がある。BICは、インフラストラクチャーのライフサイクル全体を、クラウド上の共通データ環境(CDE)で統合・管理を行えるプラットフォーム。そして、同社はBICにおけるキーワードとして「iTwin」を掲げている。これは「インフラストラクチャー・デジタルツイン」を略した造語で、計画・設計から解析、建設、運用、ライフサイクル管理まで、各フェーズに向けた製品群を象徴する概念だ。
本田氏は「それぞれのフェーズでは、他社も含めた幅広いツールをお使いいただけます」と語る。ポイントは、ISO 19650に準拠したCDEを軸に、異なる会社・異なるツールで作成されたデータをベントレー・システムズのクラウド上にアップロードし、一元的に可視化・管理できる環境を築けることにある。
BICの対応フォーマットは60種類以上。自社のMicroStationのほか、RevitやRhinoなどの主要なサードパーティ製品、そして点群データを含む各フォーマットにも対応する。「大規模な3Dモデルに点群を重ねると動作が重くなりがちですが、独自のストリーミング技術やデータの軽量化によって、ストレスの少ない可視化を実現しています」と説明する。
BICが可視化する目に見えないコストについて
BICは、ドキュメント管理を担う「ProjectWise」、4D/5D施工管理の「SYNCHRO」、保守・運用向けの「AssetWise」などのソリューション群が含まれる。
Senior Application Engineer松浦 左津志氏は、ProjectWiseをメインに担当。その松浦氏はBICの開発の背景をこう語る。「設計は設計、施工は施工、維持管理は維持管理と、各フェーズで管理体制が確立している会社は多いですが、フェーズをまたぐ際にデータをそのまま活用できず、データの再作成のため目に見えないコストが発生しています。実際にはこれが莫大な金額になっているケースも少なくありません」。
BICのProjectWiseでは、PDFやOffice文書といった一般的なドキュメントに加え、BIM/CIMや点群などをはじめとする多様な3Dデータを一元管理できる。実際に関係者間でファイル共有を行う上で重要となる機能が搭載されており、具体的にはファイル名だけで内容が把握できる命名規則の定義、関係者ごとに編集・閲覧権限を細かく設定できるアクセスコントロール、誰がいつ何をダウンロードしたかを記録する監査証跡、設計図書とモデルの参照関係の可視化できる依存関係など、ISO 19650準拠のCDEに求められる機能を備える。
「英国規格BS1192の時代から積み重ねてきたBIMに準拠したテンプレートがあるため、すぐにプロジェクト運用を始められます」と松浦氏は付け加える。
さらにBICは、前述のとおり幅広いフォーマットをサポートしており、RevitやCivil 3Dなど異なるソフトで作成されたモデルの統合にも対応。デザインレビューでは、3Dモデル上に直接指摘事項を書き込み、解決状況を色分けして管理できるほか、バージョン間の差分や属性変更を視覚的に比較する機能、クラウド上で自動実行される干渉・クリアランスチェックなども備える。
SYNCHROが支える、計画から現場までの一気通貫マネジメント
施工現場向けとして関心を集めているというのが、4D(工程)および5D(コスト)施工管理を担う「SYNCHRO」である。施工現場では、タスク遅延が後続工程に与える影響の把握やリスケジュールに時間がかかり、計画全体の整合性が崩れるリスクが常に伴う。Application Engineer ホアン ゴックカン氏は「BICにおける最大の強みの1つは、複数の異なる拡張子のモデルをBIC上で統合した上で、SYNCHRO Modelerで統合モデルのまま工区の分割などを行える点です。モデルを統合した後にオブジェクト単位・工区単位での分割、数量拾いなどもができるのはSYNCHROならでは」とメリットを語る。
分割した施工モデルに「SYNCHRO 4D Pro」で工程情報を紐づけると、クリティカルパス法によるスケジューリングが可能になる。1つのタスクが遅れた際の後工程への影響を自動で再計算してスケジュールの整合性を保つことができるほか、他社の工程管理ソフトとの双方向連携にも対応する。コストを加えた5Dモデリングでは、計画と実績の差を示すEVA(出来高管理)グラフや、災害時などの遅延シナリオを同一ファイル内で複数作成して視覚的に比較・検討できる機能も用意されている。「現場が始まる前の計画段階から引き渡しまで一気通貫で管理できるソリューションは、SYNCHROだけという声を国内外のお客様からいただいています」とホアン氏。
現場向けにはiOS/Android対応のBICモバイルアプリを用意し、不具合報告や進捗管理、図面へのマークアップ、写真の位置情報・モデル部位への紐づけを、電波の届かない山間部などの環境でも可能にする。さらに、大量に撮影される現場写真の自動タグ付けやテキスト抽出をAIが自動的に行うメディアエクスプローラー機能により、大量の現場写真から必要情報を素早く検索し活用できるという。
BICで統合したデータは、Microsoft Power BIの無償APIプラグインを通じてダッシュボード化も可能で、経営層やプロジェクト管理者は直感的に全体の進捗やコスト超過リスクを把握できる。また、大容量のリアリティモデルもタイリング技術によって同一環境で軽快に扱える。ホアン氏は「複数の拡張子を1つのプラットフォームで統合できること、モデルを統合した後に工区分けできること、リアリティモデルをBIMと同じ環境で軽快に扱えること。この3点は特に強みです」と強調する。
設計から施工、運用までのデータをシームレスに結び、目に見えないコストを減らすベントレー・システムズのBICは、建設業界のプロジェクトでさらに広まることが期待される。
CORPORATE PROFILE
| 会社名 | Bentley Systems, Incorporated |
|---|---|
| 本社 | 米国ペンシルベニア州エクストン |
| 事業内容 | 道路、鉄道、橋梁、水道、電力、プラントなどのインフラストラクチャ分野向けソフトウェアおよびクラウドソリューションの開発、販売、サポートサービスの提供 |