事例レポート

株式会社アンドパッド

クラウド型建設プロジェクトサービスANDPADで実現するCDEとインターオペラビリティ

株式会社アンドパッド
執行役員 ANDPAD ZERO Director 今井 亮介 氏
ANDPAD ZERO BIM・ML Product Lead 菊野 格 氏

現場の効率化から経営改善まで一元管理できるクラウド型建設プロジェクトサービス「ANDPAD」。現在では住宅領域の企業で多く導入され、26万人以上のユーザー(2021年6月時点)に利用されているという。
リリースから幅広い支持を受けてきたANDPADだが、その機能性や拡張性の高さから、現在は専門工事会社やゼネコンなど、非住宅領域での導入が急速に進み始めている。
さらに近年、建築BIM推進会議でBIMの活用に関するガイドラインなどが策定されたが、それに関係するCDEやインターオペラビリティの考え方と必要機能を満たすプラットフォームとしての活用もANDPADは今後期待できるのだという。
今回、アンドパッドの執行役員で新規事業開発室の責任者 今井亮介氏、BIM・ML Product Lead 菊野格氏に、今後、建設業界のデータ活用のキーとなる“CDE”と“インターオペラビリティ”の考え方、それを踏まえたANDPADの機能や特長などを伺った。

アンドパッドが重視するCDEとインターオペラビリティについて

アンドパッドは、国土交通省令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業にも採択されたプロジェクトにおいてCDE (Common Data Environment) などの効果や検証を実施。現在住宅のみならず、建築・土木分野での同社のソリューションANDPADの幅広い活用が始まっている。

  • 株式会社アンドパッド
    執行役員 ANDPAD ZERO Director 今井 亮介 氏
  • 株式会社アンドパッド
    ANDPAD ZERO BIM・ML Product Lead 菊野 格 氏

アンドパッド 執行役員の今井氏は「海外では、10年以上前から公共事業はBIMモデルの納品が要求され始めており、建設業のデータ整備と活用が着々と進んでいます。日本は遅れていましたが、現在は一定規模以上の土木工事におけるBIM確認申請の義務化など環境が整いつつあり、活用スピードが加速する段階に入っていると考えます」と語る。
今井氏は慶應義塾大学大学院卒業後、日本設計で中国やUAEの大規模プロジェクトに従事。2013年にコンサルファームに移り、自身でも起業を経て2020年に新規事業の責任者に着任した。7年ぶりに建設業界に戻った今井氏だが、当時と状況があまり変化しておらず驚いたと同時に、クラウド環境なども整い、いよいよBIMなどのICT利用が加速するフェーズに入ったと現場と経営の両視点で分析する。

その上で、「BIMやICTの活用を建設業界でより幅広く推し進めるため、“CDE”と“インターオペラビリティ”というデータ活用の根底となる考え方が重要です。そして、それぞれを満たす機能を持ったプラットフォームが今後重要視されていく」と今井氏。

Ref: COE work-flow diagram ISO 19650-1:2018, Switzerland, 2018, p7
CDEワークフロー

CDEの概要については菊野氏が説明する。菊野氏はペンシルバニア大学大学院を卒業後、松田平田設計でBIMによる設計自動化など、ソフトウェア開発を担当。より建設業のICT活用をボトムアップで促進させたいという想いからアンドパッドに入社した、データ活用のプロフェショナルである。
菊野氏によると、「ISO19650の中でBIMのワークフローの定義がされていますが、特に重要なのは建設情報管理に必要条件が記載されていることです。ISOでは、プロジェクト内外でのデータ活用のフレームワークがステージ毎に提示されており、ステージ1が国内基準、ステージ2が国際基準 (ISO19650) で、ステージ3が次世代基準です。ステージ2を目指すことがポイントで、CDEとは取り扱うデータやファイルの作成からアーカイブまでのワークフローを正確に管理できる環境のことです」。つまり建設プロジェクトでデータやファイルを扱う上でCDEは土台となるものなのである。今井氏も「BIMは建物情報などを共有する際のデータの重要な要素ですが、あくまでも手段の1つです。ほかの付帯情報も含めて、組織内やある一定の範囲での多様な情報(ファイル)を管理することがCDEです。CDEによって単なるデータを整理し、一貫して“本当に活用できる情報”とするのがポイントです」と補足する。

BIM情報連携成熟度
プラットフォームとしてのANDPADの機能について

それでは、CDE環境を実現するソリューションには、どのような要素が必要なのだろうか。それに関して菊野氏は「各ファイルに付随する情報の管理が重要です。例えば、ファイルの日付やID、ステータス、承認プロセスなどですね。さらに大きく3つの提供価値にCDEのソリューションは分類されます」と語り、コラボレーション・承認フロー・データベースが管理できる3つがCDE構築の際にはポイントだと説明する。

その上で、同社のADNPADは前述の3点を抑えている。「ANDPADは、まず職人や施工者、設計者など各関係者が工程表を確認できる“コラボレーション”機能を持ちます。黒板機能や図面機能では、図面のマークアップ、注釈、写真を載せたりと情報共有が容易です。また、“承認フロー”の機能も用意しており、承認の有無の管理などもできます。そして“データベース”の点については、工程表管理、図面のバージョン管理など施工に関わるデータ管理が可能です」と菊野氏。つまりANDPADでCDEとしての環境構築が実現できるという。
このほかにもANDPADはサポートサービスも充実しており、SaaS企業には珍しくアプリの中に電話番号が記載されている。例えば協力会社の職人がアプリの操作について直接電話で質問できるなど、現場で使いやすい多彩な機能を持つのが特長だ。

分断された第三者の基幹を繋ぐのが、インターオペラビリティ。
インターオペラビリティとCDE

そして、菊野氏はその他の企業のCDEや基幹システムと情報を連携し、その情報を相互活用できる環境を整えるのも大切で、その考え方として“インターオペラビリティ”を理解し推進することが重要だという。「インターオペラビリティ(以下、IO)とは2つ以上のCDE / システムが情報を交換し、その情報を活用する機能として定義されています」。IO自体は、イギリスで生まれた考え方だという。「IOにおけるソリューションとしての考え方では、単にデータを保管していくだけではなく、建設に必要な情報を受け渡して、引き渡すことができるシステムであることがポイントです。一方向でだけでなく、データが相互に行き来できる必要があるのです」と語る。

インターオペラビリティと今後のアンドパッドの展開

そしてIOが必要な理由について、建設業界における3つの課題を菊野氏は説明する。「1つ目はBIMでデータ化した場合、設計から維持管理までを1つのソフトで管理するのは不可能に近いと言えます。データの一元化は重要ですが、別のシステムやソフトと情報連携できる点は必須です。2つ目は、建物とは長寿命なもので、今後100年間を同じソフトでずっとデータ管理するのは合理的ではないです。分散した形で管理していくことが大切です。3つ目は建築データは公共性のあるもので、クローズドではなく、ある程度はオープンでなくてはいけません。もちろん、国ごとで基準は異なりますが、今後のデジタル活用を促進する上で、一定の情報はオープンに保管することが求められます」と語り、これらの理由から今後IOが重要になるという。

その上で「ANDPADは、IOを円滑に実現できるように“共有”“受け渡す”“アライアンス”の3点の機能を持ちます」と菊野氏。共有では、例えばSafieと連携し、監視カメラで撮影された現場の動画などのデータ管理をANDPADで行える。情報の受け渡しは、ALTAで作成した積算情報をCSV形式で受け取り、その形式をベースに実行予算が計算でき管理可能だ。そして、アライアンスについては、マーケティングやセールスなど多様なデータやソフトとの連携を進めるという。

CDEとしてのANDPAD

菊野氏は「これらのIOに対する機能を持ち、汎用性がある仕組みをANDPADは持っています。CDEのプラットフォームであるとともに、情報が外部システムと相互に活用できるインターオペラビリティにも対応しているため、建設業界の多くの方に利用していただきたい」と自信をみせる。

そして今井氏もデータを繋げていくことが建設業界の発展ポイントだと将来を見え据える。「現在BIMや環境解析など素晴らしいソフトが提供されていますので、それらで作成されたデータをプロジェクトで必要な人全員がアクセスできる情報として民主化するのが我々の役割だと考えています。業界全体のデジタル化が促進されるよう、あえて業界の黒子でありたい。そして建設業の発展に貢献できれば嬉しいです」。

CORPORATE PROFILE

会社名 株式会社アンドパッド
設立 2014年
事業内容 ANDPADの展開や、BIM、データ解析などをキーワードにした新規事業の研究開発 ほか
本社 東京都千代田区
代表者 代表取締役 稲田 武夫