事例レポート

株式会社 安藤・間 NYKシステムズ

レブロを中心に「I」を重要視した設計・施工・FMでの活用と設備BIMの推進

株式会社 安藤・間
建設本部 設備統括部 設備設計部 部長 中山 敬一 氏
建設本部 設備統括部 設備部 工事グループ 担当課長 須賀 規文 氏

安藤ハザマは、2013年4月に建築事業本部内にBIM推進グループを設置。今までは設計部内中心での部分活用に留まっていたが、建築事業本部が主導する形でBIMの導入と活用を強力に進め始めた。
この新たな流れを受け、同社の設備部門もBIMへの取り組みを本格化している。BIMの「I(Information)」を活かした設備BIM構築を目指すユニークな取り組みと、それを支えるNYKシステムズの設備専用3次元CAD「Rebro(以下、レブロ)」の活用法について、同社の設備設計部の部長 中山敬一氏と設備部の担当課長 須賀規文氏にお話を伺った。

現場を中心に選定を進めレブロをメインツールに

「当社の新たな生産システムとしてのBIMへの本格的な取組みは2013年に開始しました」。そう語る設備設計部の部長の中山敬一氏によると、まず建築部門が中心となってBIM推進グループを立ち上げ、これを追いかけるようにして、現在中山氏らが率いる設備部門も本格的な取り組みを開始した。当初は、例えば、納まり検討やスリーブの干渉チェックなど、BIMの機能を部分的に活用するような運用が中心だったが、2016年に新たに設備BIM実現へのロードマップを整備し、設備BIMを目指す独自の展開を開始したという。

安藤ハザマ 建設本部 設備統括部 設備設計部 部長 中山 敬一 氏(右)、安藤ハザマ 建設本部 設備統括部 設備部 工事グループ 担当課長 須賀 規文 氏(左)

「設備BIMに取り組むには相応の環境整備が必要です。当然、まずソフトウェアをどうすべきか?という話になりました」。それまでCADソフトは2D作図ツール的な利用が中心だったため、特に統一せず運用してきたが、まず最初に設備BIM時代の到来を見据えた3D CADの自社標準ソフト採用に向けた比較検討を開始したのだ。「とにかく実際に使う社員に納得して使ってもらいたかったので、2013年頃から他社ソフトも含めて試用版を試すなどしていました。そして現場も含めた賛意を得て選んだのがレブロです。さまざまな視点で検証し、設計~施工をシームレスでやるなら一番我々に適しているソフトと考えました」。
「レブロは設備CADとしては後発の製品ですが、BIM時代のメインツールとしての将来を考えると、そこは強みでもありました」と実際にレブロの導入検討を行った設備部の須賀規文氏は語る。須賀氏によれば、同ソフトは誕生当初からBIMを強く意識し、これに最適化したインターフェースと機能を備えていた。そして、須賀氏らはその点に将来を見据えた豊かな拡張性を感じたという。こうして2014年に正式導入されたレブロをメインツールに、前述した設備BIMロードマップに添って中山氏らの挑戦は本格稼働を開始したのである。

設備BIM開発のビジョン

「建築モデルなしで設備BIMをやることに対して、社内からいろいろな意見もありましたが、私たちは“モデルがないからできない”ではなく、将来的に設備でBIMに関して遅れを取らないように、本当に設計から施工までシームレスでBIM活用ができるのかをまず優先しました」。中山氏が見せてくれた『設備フルBIMチャレンジ』をかかげた設備BIMロードマップによると、取り組みは開発構想、環境整備、実施設計、プレコン・施工、竣工、FM、積算連携、の7項目に渡り、それぞれ詳細なアクションプランが設定されていた。例えば、環境整備は、ソフト導入と普及を中心に、初年度は体験セミナーや社内講習などの教育、さらに運用マニュアルやテンプレートの更新、パーツ作成などが段階的に行われたという。

設備BIMロードマップに基づく開発と展開

「では、私たちの取り組みを順に紹介して行きましょう。“環境整備”については、前述した取り組みのほか、2017年度からはその展開として、まずは、シームレス活用を図るため全国への設備施工の現場へのレブロ教育を進めました。合わせて、当社の地方設計室へのレブロ普及と標準化を積極推進しました。」と中山氏。また、実施設計分野では、設備フルBIM化チャレンジの一環として、同ソフトによる実施設計の図書化も8件ほど実施。2017年度からは、地方設計室の案件も対象に加えて、各地の設備設計者にレブロで2D図面を作りながら3Dを活用し、道具に慣れてもらう機会を作っていった。

生産設計モデル1

さらに中山氏は具体的に語ってくれた。「次に“プレコン・施工”ですが、プレコンとはPreConstructionエンジニアリングによる施工活用チャレンジ。まず実施設計完了後、設計データ(2D)もしくは設計BIMモデルを元にレブロで施工モデルを作ります。このモデルを施工現場に供給し、現場がさらに整合性等を確認・修正しながら施工モデルの精度を向上させます。また、従来の施工図もモデルから切出し作成します」。無論、実施図を作ればモデルも自動的に立ち上がるが、この試みでは実際に施工モデルとして仕上げたものを現場に渡す。いま風に言えば「生産設計モデル」だろう。本来は建築モデルで進める流れを設備側で試行し、将来の課題を検証しておこうという取り組みだった。

生産設計モデル2

そして「次の“竣工”も私たちにとって重要な項目で、ここでは竣工モデルのあり方を当社なりに定義しようという取組みが中心になりました。実際、最終施工モデルから作った当社仕様の竣工モデルを標準化。これを2次利用していくことを図りました」。設備部門における竣工モデルの2次利用の例としては、やはり“FM”での活用が挙げられるだろう。同社はLCS(ライフサイクルサポート)事業本部にてビルサービス業務も全社ワンストップサービスを開始しており、この竣工モデルを、同部門に引継ぐことも検討している。
「この竣工モデルを維持管理業務に活用していくために、2017年から、ここまで整備すれば維持管理に使えるだろう、という内容を私たちなりに検証し、当社における維持管理BIMモデルの標準仕様を一旦作成しました。今後の展開、活用に向けバリエーションのメニュー化を図っているところです。また“積算連携”についても、レブロから他社の積算ソフトなど積算数量の連携用中間プログラムの開発をし、技術的には実現可能ですが実務への適用には課題もあり、継続開発中です」と中山氏は前向きだ。

3D総合モデル
BIMの“I”を重視し、データのさらなる活用を目指す

このようにさまざまな取り組みに対して積極的な同社。中山氏と須賀氏は「最後に“開発構想”ですが、これもレブロモデルから拾うBIMの“I”を、きちんと活用し、データベースとしていくための多岐に渡る開発項目を示しています。例えば、レブロと設備設計計算との連動。レブロモデルから機器表を自動作図するとか、温熱などシミュレーションとのエンジニアリング連携などです。2013年から継続して開発に取り組んでおり、実際に現場での運用が始まったBIM技術も多々あります」とさらなる展開も語ってくれた。具体的には、基本設計・実施設計段階のそれとして、温熱・気流シミュレーション、各種環境評価シミュレーション確認などが使われ始めている。

スリーブ梁貫通範囲および離隔チェック

続いて、着工後の施工BIM活用技術としては、加工図切り出しや躯体・鉄骨スリーブ連携、3D表現での合意形成、BIM会議による施工調整、納まり検討確認、メンテルート確認など広範囲に及ぶ。「これらの中にはすでに日常的に使われるものもある一方、未試用のものも多々あります。難しいのは“こういう使い方がある”と現場に紹介する時に“こんなに生産性が上がる”と現場や協力会社を納得させることが重要です」と語り、納得してソフトを使ってくれる人を増やすことがBIMやICT活用を広めるポイントだと両氏は口を揃える。
2020年、BIMセンターは建築部門のBIMツールとしてRevitを導入。設計から施工まで一貫して進めるフルBIMへの取組みを本格化している。レブロはBIMソフトとの親和性が高いため、取組みはより加速するだろう。中山氏は「いよいよ全社でBIMが始まりますが、いままで進めてきた取組みで“設備ができること”は確認済みなので、建築主導のBIMにも不安はありません。もちろん設備BIMの高度化・効率化への挑戦は継続しますよ。技術は日進月歩ですからそれらをどん欲に取り込み、私たちの設備BIMに繋げられるものはどんどん繋げていこう、と考えています」と力強く語った。

CORPORATE PROFILE

会社名 株式会社 安藤・間(呼称:安藤ハザマ)
事業内容 土木建築その他工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理、技術指導の請負、受託およびコンサルティング業務ほか
本社 東京都港区
代表者 代表取締役社長 福富 正人

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