事例レポート

Epic Games Japan合同会社

Unreal Engine & Twinmotionのさらなる連携の拡張がもたらす高品質なビジュアライゼーションの世界

Epic Games Japan合同会社
セールスマネージャー 杉山 明 氏

フォトリアルなムービーや高精細なAR / VRコンテンツの制作を行えるゲームエンジン「Unreal Engine 4」。
同エンジンの開発元であるEpic Gamesは、着実にバージョンアップを重ね機能を向上させ、建築分野で活用するためのフィールドをさらに広げている。さらに、外部ソフトウェアとの連携を拡大することで、設計業務のプラットフォームとしての活用が進み、ユーザー数は着実に増加。
また、建築分野のビジュアライゼーションに特化した「Twinmotion」もUnreal Engine 4との連携を予定するなど、より使いやすさを強化している。
今回、これらのソリューションの機能や特長をはじめ、今後の展開などについて、Epic Games Japan セールスマネージャーの杉山明氏にお話を伺った。

Twinmotionによって誰もが気軽に高品質なプレゼンを実現

Epic Gamesは、今年5月に次期バージョンである「Unreal Engine 5」を2021年にリリースすることを発表した。PlayStation 5上で動作するデモムービーも公開し、その圧倒的なグラフィッククオリティに多くの人が魅了され、国内外で大きな話題となったことは記憶に新しい。世界的に話題と注目を集めるEpic GamesのUnreal Engine 4(以下、UE4)は、現在、日本の建築・建設分野でも高忠実度なビジュアライゼーションの実現やコミュニケーション向上に役立つツールとして存在感を強めている。

Unreal Engine 5によるデモ映像

日本の建築・建設分野でUE4の名前がより広まることとなった直近の契機は、2019年に「Twinmotion」の提供がEpic Gamesから始まり、導入するユーザーが急激に増えたことによる。もともとUE4をベースに開発されたTwinmotionをEpic Gamesが買収してリリースしたこのソフトウェアは、建築ビジュアライゼーションに特化。プログラミングなどの特別な知識がない人でも、同ソフトによって、直感的かつ簡単な操作で高品質な動画やVRを作成することが可能となったのだ。樹木や草、岩、人物、建築に使われるマテリアルなど、豊富なアセットライブラリを備えるほか、日照や天候、季節のシミュレーションにも対応し、1クリックでアニメーションも生成。ArchicadやRevit、SketchUp Proと同期を直接とることができる点などが、設計者たちを中心に導入の大きな後押しとなった。

Epic Games Japan合同会社
セールスマネージャー 杉山 明 氏

2020年3月にリリースされた「Twinmotion 2020.1」は、よりレンダリングのクオリティが向上するなど、さらに手軽かつ高精細な映像を実現。杉山氏は「RhinocerosとGrasshopperのデータとの連携も進み、活用の幅はますます広がっています。そして、UE4にTwinmotionのデータを読み込める機能も開発中で、年内にはマーケットプレイスにてベータ版が提供される予定です」と、ついに待望の両ソフト間での連携が実現することも明かした。これまではTwinmotionで作成したデータは、同ソフト内で完結し固定されていた。それがUE4と連携することで、さらに表現の幅を広げたハイクオリティのビジュアライゼーションの制作や自由度の高いインタラクティブコンテンツが可能となるため、拡張性が飛躍的に高まることとなるのである。

Twinmotionでの天候や季節を変更するUI
データ変換の進化でプラットフォームとしてのUnreal Engineへ

今回、杉山氏はUE4の最近の動向などの説明に際し、具体的な事例をいくつか紹介してくれた。その中で、世界的な大手組織事務所HOKは、空港の設計においてUE4を用いて空港内部をビジュアライズし、VRでもウォークスルーできるなどインタラクティブな手段で活用しているという。また、トヨタ自動車が発表した実証都市“Woven City”のプレゼン映像を制作したSquint / Operaが提供するサービスでは、遠隔地にいる複数人がリアルタイムに3D空間を共有することが可能となっており、これもUE4をベースに開発されている。また日本では、キャドセンターが大阪の都市をUE4のレイトレーシングを使用して4Kでレンダリング。実写と見間違えるほどフォトリアルに都市を再現しており、コミュニケーションの部分だけでなく、今後UE4がデジタルツインの分野でも相応の役割を担うことを予期させる事例である。

UE4でレンダリングされた外観CG事例 ©HOK

さて、建築分野でのUE4の活用は、このように海外が先行しているのが現状だが、前述のTwinmotionと同様に、もちろん日本においてもUE4の活用は加速している。
その理由の1つが、UE4は高品質な映像の制作だけでなく、外部ソフトとの連携強化が急速に進んでいる点が挙げられる。杉山氏は「現在はArchicad、Rhinoceros、Revit、3ds Max、SketchUp Pro、Cinema 4Dなど、建築分野で主に使われるBIMソフトやIFCのデータ形式などをインポートすることができます」と、対応するソフトが確実に増えていることを強調する。
Twinmotionについては、これまで対応してきたソフトの最新バージョンをサポートするほか、新たにDatasmith形式(UE4が読み込めるデータ形式)のファイルをインポートすることができるようになった。「限られた中間形式でしか読み込めなかったものがDatasmithで渡るようになり、メタデータを高次元のまま持ってくることができます。UE4やTwinmotionでビジュアライズするだけでなく、属性データを両方のソフトウェアで使うことができるようになります」と杉山氏。
「Autodeskの建築業界向けレビューツールであるNavisworks用のDatasmithエクスポーターを開発しています。中間ファイルのFBXを書き出すよりも何倍も速くDatasmith用のデータを書き出し、効率よくデータを渡せることで、修正作業も短縮できます」と、より利便性が高まることも説明する。
また、LiDAR Point Cloud インポーターによって、標準で点群データを読み込めるようにもなった。巨大なデータでもUE4上で再生しやすく、次のアップデートでは、データ形式のサポートも拡大する予定のため、土木分野での活用も期待される。
高品質なビジュアル表現ができるUE4であるが、上記の特性を活かし、ソフトウェアをつなぐ主要なパイプラインとして使用する建築設計事務所もある。海外事例として紹介した米国のHOKではRhino、Revit、SketchUpなど、さまざまなソフトを使っているが、ソフトウェア間で相互にやり取りができず、ビジュアライゼーション向けに特化していない。そこでDatasmithを使ってUE4にデータを集約することで、作業効率とアウトプットの質を高めることができているのだ。

レイトレーシングを活用した大阪の街の事例 ©キャドセンター
より豊かな表現力の実装と先の展開を見据えるEpic Games

そのほかにもUE4の「マルチユーザー編集機能」は、1つのUE4のデータについて、例えば1人がウッドデッキの色を変えると、もう1人が見ているデータにも即座に反映される。会話しながら、同時に色を塗り替えていく共同作業も可能である。国内あるいは国外にまたがる複数の拠点で協働する場合には、特に力を発揮することだろう。
またPixel Streamingは、以前から実装されている機能であるが、Webブラウザ経由でストリーミングができる。そのため、タブレットや強力なGPUを搭載していないPCでもUE4のコンテンツを閲覧することが可能だ。今後、5Gが拡大した際に、強力なコミュニケーションの手段になることが予想される。

データライブラリ「Quixel Magascans」のアセット

そして、杉山氏は主なトピックとしてEpic Gamesが、さらに表現力を高めるためにQuixel(クイックセル)を2019年11月に買収したことも挙げる。これにより、UE4で世界各地の自然物を高性能なカメラを使ってスキャンした高品質なデータライブラリ「Quixel Megascans(メガスキャンズ)」を扱えるようになった。岩や植物などについて、1万点を超えるアセットからデータを引用することで、テクスチャと形状を再現したフォトリアルな表現ができる。「より効率的に誰もが負担なくつくれるように、UE4やTwinmotionで利用する場合は無料です」と杉山氏。日本固有の樹木や植物などのライブラリ「JAPAN COLLECTION」が準備中であることも発表されており、日本のユーザーがプレゼン用のムービーを制作する際などに、より表現を豊かにできるため期待は高まる。なお、UE4は以前よりBtoBの場合は、基本的に無償かつロイヤリティフリーで使用できる。導入や運用のうえでコスト面のハードルが低いことも特長だ。
杉山氏は「さらに多くの建築業界の方々にさまざまな場面でUE4を使っていただき、誰もが気軽にフォトリアルな映像やインタラクティブなコンテンツをつくれるようになれば嬉しいです」と笑顔で語る。ますます効率的で便利になり、表現と活用の幅を広げ続けているUE4およびTwinmotionは、建築分野での存在感を今後も高めていくことだろう。

CORPORATE PROFILE

会社名 Epic Games Japan 合同会社
事業内容 ゲームソフト開発、ゲームエンジン開発および技術的サポート
所在地 神奈川県横浜市
代表者 河崎 高之

その他の事例レポート紹介